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ボルダリングコンペのカテゴリー問題を考える|mickipedia

ボルダリングコンペのカテゴリー問題を考える

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SNS上でよく話題に上がっているボルダリングコンペのカテゴリー問題。
もう少し具体的に言うと

同一カテゴリー内で参加者の実力差があり過ぎるために生じている以下の諸問題
 ・上位に食い込める可能性がほとんどない参加者が多く発生
 ・全完登(更には全1撃)者続出
 ・セッターにとって課題作成が困難
 ・観客にとっても見ていて面白くない

について考えてみようと思います。

個人的には、SNSで時折騒がれてはいるものの、これまでそれほど大きな問題だとは感じていませんでした。
しかし先日のThe North Face Cup 2017(以下TNFC)のFish戦を運営側として客観的に見てみた時に、想像以上に根深い問題だと感じたため、自身の思考の整理も含めて記事を書くことにしました。
この問題はもはや「グレードごまかしてんじゃねぇ!適正カテゴリーに出ろ!」みたいな、精神論的な啓発だけでは解決できない領域まできていると感じます。



目次
■前提
■現状認識
■問題の根源
■具体的対策
■終わりに



■前提
まずこの話題を論じる上で前提として断っておきたいことがあります。
それは、

現状のほぼ全てのコンペにおいて適正カテゴリーの基準が曖昧過ぎる。
その状況下で、不適正なカテゴリーに参加している選手がいたとしても選手を責めるべきではない

と僕は考えているということです。

例えばTNFCのDivision 3の参加基準は「1~2級以上の男性」、
BLoCのミドル男子の参加基準は「レッドポイントが概ね2級までの男性」です。
しかしこれだけでは、
最高レッドポイントグレードの話なのか、
1日で登ることができるレッドポイントグレードの話なのか、
どこのジムでの話なのか、
そもそもインドアと外どちらの話なのか、
全てがあまりに曖昧で共通認識を持つことは難しいです。

僕も5,6年前に、Edge and Sofaのコンペで「ラブリー」という3級までのカテゴリーに出て、予選をあまりに余裕過ぎる成績で通過してしまうという恥ずかしい体験をしたことがあります(決勝ではコケてそれも恥ずかしかったですが)。
しかし、当時の僕のホームジムであったTwallや品川ロッキーで2級を登れることはほとんどなかったと思いますし、外でも「忍者返し」を完登できるかどうかギリギリの時期だったので、外でもよく触る課題という意味では3級程度だったと思います。

このようにカテゴリーやグレード自体が曖昧で明文化されておらず、共通認識もされていない状況下では、選手も適正カテゴリーを見極めて出場することは難しいです。
なので、問題の原因はあくまで運営側にあり選手を責めるべき意図でこの記事を書いているわけではないということは大前提として話を進めます。
僕も運営としてBLoC等のコンペに関わっているのでこれは他人ごとでは全くない話ですね。



■現状認識
まず現状の草コンペがどういう状況になっているかを、TNFCの男子カテゴリーを例にとって見てみます。
カテゴリーは以下の5つ(DivisionをDと表記)

D1:三段以上
D2:初~二段
D3:1~2級
D4:3~4級
DFun:大会初めてかつ4級以下

以下、このグレードが「ジムでの最高レッドポイントグレード」だと解釈して話を進めると、D1とD2はカテゴリーの基準グレードと参加者のグレードがおおよそ合っているように思います。
まぁ二段や三段ってそもそもどのくらい難しいんだという共通認識ができているかどうかはわかりませんが。

一方でこれは完全に僕の主観ですが、D2の選手はコンスタントに初段を登ることができるのに対して、D3やD4で決勝に進むような選手も課題を選んだりより多くの日数をかければ、初段を登った経験またはその実力はあると感じています。
BaseCamp、Rockyなどの比較的グレードが甘いジムか、グレードがもう少し辛いPump、更に辛いライノ・フィッシュ、アングラなど、ジムによってグレード感はもちろん大幅に変わるので一概に論じられませんが。

つまり最高レッドポイントグレードという括りで見てしまうと、おそらくですがD2~D4の上位選手はほぼ全員が1級~二段程度のレンジに収まってしまうのです。
しかしD2では到底勝てないと判断した選手はレッドポイントが初段であるけれど、D3やD4にカテゴリーを下げざるを得ない。
するともう少し実力が低い参加者は上から降りてきたより強い選手を見てD4でも勝つことができないと判断してしまい、例えば最高レッドポイントが大幅に4級を超えていたり、コンペ参加が初めてでなかったりしても、規定を破ってでもDFunに参加するしかない。
と、このように上位カテゴリーからどんどん選手が押し出される構造になっているのです。
これが積み重なって
・コンペの基準となるグレードと参加者のグレードが全く対応していない
・正直なグレードで参加した人との実力差の乖離が生じる
という現象になっているのです。

そして、カテゴリーの基準グレードを参加者のグレードが大幅に上回っていた場合、コンペを成立させるためにセッターも課題を難しく設定せざるを得ないです。
そうしなければ上位陣が全完登となり勝負が着かなくなってしまうので。
すると、正直なグレードで出場した参加者は全く課題が登れない状況になり、下のカテゴリーに参加する傾向が生まれてしまいます。
こうやって更にカテゴリーの基準はあってないようなものになり有名無実化していくのです。
つまり、下の図のようなスパイラルが生じてしまっているというのが現在の状況ではないでしょうか。

170116_カテゴリー問題



■問題の根源
ではこの問題の根源はどこにあるかというと、やはり「グレードやカテゴリーの明確な基準がない」という点だと思います。
上に書いたように、基準グレードとは
・1日で登ることができるレッドポイントグレードの話なのか
・どこのジムでの話なのか
・そもそもインドアと外どちらの話なのか
などがあまりに曖昧で、ここを明確化しないと参加者を困惑させます。

更に、現行のグレード体系でコンペティターの実力を分けること自体がそもそも難しいとも最近感じています。
年々コンペティターの裾野が広がっており、多くの人が男性であれば2級程度の課題のレッドポイントは当たり前にする時代になっています。
また一番下のクラスの出場者であっても、撃ち込めばホームジムの1級や初段を落とした経験を持つ方もいるかもしれません。
しかし、「初段を撃ち込んで1本登ったことがある人」と「初段をコンスタントに登ることができる人」ではその実力は天と地ほどの差があります。
つまり最高レッドポイントでカテゴリーを分けようとするならばもっと細かくクラスを分ける必要がありますし、そもそも現行のグレード体系それ自体がコンペティターの実力を測ることに不適合なものになってきているのかもしれません。



■具体的対策
では具体的にはどのように変えていけばこの問題を解決することができるのでしょうか


<カテゴリーの基準を明確にする>
再三書いているように、カテゴリーの基準を明確にすることが求められます。
まずはどこのジムでのグレードを基準にするのかを明示するべきです。
現状都内のジムだけで考えても少なくともジム間で2グレード程度はずれが生じているというのが僕の体感です。

また最高レッドポイントグレードで語るのにも無理があります。
かといってオンサイトグレードや3便以内に登れるグレードのようなものを採用しても、個々人の実力差を上手く反映できる気があまりしません。
何となくしっくりくるのは
「2時間、○○ジムで自分が登れる付近のグレードの全ての課題を撃ち込んだ場合、初段×本、1級△本、2級□本程度登れる」
のような基準でしょうかね。
ものすごく複雑な基準になってしまいますが、参加者の実力がある程度反映される気がします。


<基準を明確にした結果より細かくカテゴリーを分ける>
仮に上記のような基準を設けたとしても、かなり細かくカテゴリーを分けないと参加者の実力に乖離が出てしまうと思います。
例えばあるジムで2時間登って、10本の初段の内
・8本登れる人
・4本登れる人
・1本しか登れない人
は同じ「初段を登れた」という結果ですが、それぞれ1カテゴリー分くらいの実力差が離れていると個人的には感じます。
ですので、本当に実力が拮抗したグループ分けをしたいのであれば、例えば以下の様にかなり細かくわける必要があります。

2時間○○ジムにいた場合、
1. 二段が半分程度登れる
2. 二段が1,2本、初段が9割方登れる
3. 初段が半分程度登れる
4. 初段が1,2本、1級が8割方登れる
5. 1級が半分程度登れる




これをしっかりわけようとすると10カテゴリーとかになってしいますね。
しかし現行のグレードというものはそれくらい1つのグレードが幅広いものとなってしまっていて、競技者の増加に対応し切れていないものだと感じています。


<適正カテゴリーに分けるレーティング制度的なものを導入する>
しかしどれだけ基準を明確にしたところで、本来よりも下のカテゴリーで出場する選手は発生するでしょう。
それに対してTNFCは昇格降格という仕組みを導入しています。
これはクライミング業界では画期的な試みですが、コンペが基本的に年1,2回程度なので昇格降格のタイミング以上に選手の成長スピードなどが早く実質的にうまく機能していないと言わざるを得ません。

これを打破するには以下が考えられます
・コンペの回数を上げる。もしくは他での開催コンペを基準に昇格降格を機能させる
・課題ごとに登れた登れていないを評価して各選手にポイントを振り分ける、レーティング制度を導入する


レーティングというのは各選手が自分の実力を表すレートというものを持っていて、コンペの結果でそのポイントが上下する仕組みです。
例えば
「No.5の課題を登れているのはこの大会で○%の選手だけである。この選手のレートから考えると実力以上の結果を出しているのでxxポイントを与える。
逆にNo.10の課題は○○%もの選手が登っているのに、この選手は登っていない。この選手のレートから考えると登らないといけない課題なのでxxポイントをマイナスする」
のようなことを数学的に処理するのです。

他のスポーツでの例などは今度別記事で詳しく書くかもしれないです。
もちろん課題の取捨選択などに影響してしまったり、出場選手でレーティングの上下が多少なりとも影響してしまうなど、運用しようとすると問題は大きいのですがもしある程度正確なレーティングが導入されれば出場クラスで迷うことなどはなくなります。
レート1000~1200の選手はこのカテゴリーに出場すること、などと機械的に決めることができるので。



■終わりに
想定以上に長くなってしまいましたがこんな感じです。
こんなことブログで書いているくらいならまずBLoCとかでやれよって話なのですが。
でも実はカテゴリーの基準を明確にしないでも「BLoCミドル決勝程度のレベル」みたいなこれまで皆で積み上げてきた暗黙での共通認識も好きだったりするんですよね。
と、ここにきてちゃぶ台を返してみたり。笑

ともあれ、これから競技人口がますます増えていくとこの問題は避けられないですね。
今後も考え続けていきます。
ではでは。

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ボルダリングコンペのカテゴリー問題の補足PageTop2017新年!利きチョーク大会!!

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