SEO対策
クライミング|mickipedia

リードクライミングの予選で、順位の相乗平均を取る理由

スポンサーリンク

3月4,5日(土日)に日本選手権リード競技大会2017(以下、日本選手権)が開かれます。
そしてダッシュさんと僕がまたYoutube中継の実況解説を担当させていただく予定なのですが、個人的にリードはボルダーより詳しくないのでちょこちょことルールを読み返したりなどしています。
その中で面白い発見などがいくつかあったのですが、今回は「予選の総合順位付けの方法」について簡単にですが考えてみたいと思います。



■予選のルール概要
日本選手権も含まれますが、IFSCルールに則ったリードクライミングコンペの予選では基本的には全選手が2本の異なるルートを登ります。
そしてそれぞれのルートでの順位をR1、R2とした時に、以下の式で求められる総合ポイントが小さい選手上位26名が準決勝に進みます。

総合ポイント=(R1×R2)の正の平方根 (すなわち予選順位2つの相乗平均)

ちなみに予選の各ルートで同高度の選手が複数人生じた場合には、R1やR2は「複数人が占める順位の平均順位」になります。例えば、10位が3人いた場合は、10位、11位、12位を3人で占めていると考え、3人ともに11位と扱います。



■なぜ相乗平均なのか
しかしなぜ予選順位の相乗平均を取るのでしょうか。
もっと単純に一般的な平均(相加平均)を取って

総合ポイント=(R1+R2)/2

などではいけないのでしょうか。
もしこの理由や経緯を知っている方がいれば是非教えてほしいのですが、とりあえず自分で考えた限りでは2つの理由が浮かんだので書いておきます。


理由1. 総合ポイントがばらけやすい
1つ目は相乗平均を取った方が総合ポイントがばらけやすくなるからだと思います。
単に足し算より掛け算の方が出来上がる数の組み合わせが増えるという話なのですが、一応例として10人参加の場合を書き出してみました。

・現行ルール(相乗平均)
相乗平均

・相加平均を取った時
相加平均

例えば現行ルールでは
予選の2本のルートの組み合わせが
1位と6位の時、総合ポイントは2.4
2位と5位の時、総合ポイントは3.2
3位と4位の時、総合ポイントは3.5
となります。

しかしこれを順位の単純な相加平均を取ってしまうと、上記の3パターンはいずれも総合ポイントが3.5となり、同点となってしまうのです。
つまり相乗平均を取ることで同点で準決勝進出者多数ということが防ぎやすくなるのです。
(ちなみに10人参加の場合では、相乗平均を取った場合42通りの総合ポイントが生じますが、相加平均では19通りしか生じないです。)


理由2. 高順位により価値を持たせる
理由の2つめは相乗平均を取る方が高順位により価値が出るということです。
先ほど挙げた予選2ルートで、1位と6位、2位と5位、3位と4位、の3選手で考えてみると、
相乗平均を取った場合、1位と6位の選手が2.4ポイントで最も総合ポイントが少なくなり、一番評価される選手となります。
そして3位と4位の選手が総合ポイントで3.5となり一番評価が低い選手となります。
一方で相加平均の場合はこの3選手とも総合ポイントが3.5で同じ評価となってしまいます。
要は現行ルールでは掛け算をしているので、高順位ほど1つ順位が違うだけで総合ポイントに大きく影響するのです。
(1位と2位の差は2倍なので、10位と11位の差とは全く違います。10位と20位の差に等しいのです)

これは僕の予想も大いに含まれますが、予選の片方のルートで1位を取れる選手というのはかなりの強豪選手なので、仮にもう片方のルートで多少こけても高い総合ポイントを与えて予選通過させようという狙いがあるのではないでしょうか。



■他スポーツとの比較
他のスポーツでも順位の相乗平均を取ることが一般的にあるのかと思い調べてみたのですが、、、見つかりませんでした。
他のスポーツだともっと複雑な得点の算出をしているのですよね。
例えばスキーのノルディック複合では、ジャンプの飛距離を得点化して、そのポイントの差分を更にクロスカントリーの時間に換算してスタート時間をずらしています。

陸上の十種競技はもっと複雑でそれぞれの競技結果に対してポイントに換算する独自公式があり、それによって換算されたポイントの合計で競います。詳しくはリンク先を見てください。

なのでリードクライミングの相乗平均もスポーツ等で広く使われている一般的な順位付けの方法ってわけではないのかもしれません。
他のスポーツで使われている例を知っている人がいたら教えてくれると嬉しいです。



■終わりに
こんな感じです。
相乗平均の合理性ははっきりとはわかりませんでしたが、自分の中ではなんとなく納得できました。
他のルール等も調べたりしてみます。
ではでは。

スポンサーリンク


小川山「伴奏者」の初登者・再登者リストを作ってみた

スポンサーリンク

少し前の話題なのですが、今年の初めにフィッシュ&バードの常連さん2名が小川山の「伴奏者」を立て続けに完登しました。
1人は30代サラリーマンクライマーの希望の光である、ニシコフこと西川さん。
もう1人はスラブの神に愛された男である、スラビスタ。
(参考:スラビスタインタビュー記事

そこでふと気になったのが、彼らはいったい"第何登なのか"ということ。
というわけで過去のロクスノやらなんやらを漁り返してわかる範囲で調べてみました。



※いただいた情報を元に変更修正をしています
目次
■「伴奏者」の概要
■「伴奏者」の初登・再登者リスト
■補足
■終わりに



■「伴奏者」の概要
まず伴奏者に関して概要を載せておきます。

・課題名:伴奏者
・エリア:小川山 水晶スラブ下ボルダー
・岩:不可能スラブ
・初登者:室井登喜男
・初登時期:2001年12月9日(2002年と書かれている場合も見かけるが、『Rock&Snow 015』などからこの日付でおそらくあっているはず)
・グレード:初登時は国内最高グレードとなる五段、おそらくV15と発表(V15は現在のグレード換算表だと五段+とされることが多い)。再登者の意見からV13~V14、つまり四段+~五段などと言われている
・命名の由来:ラインに沿うように1本の木が生えているが、室井さんはこの木に寄りかかってホールドやムーブを探ったり、落ちた時に素早くつかまったりしていた。課題に寄り添うなくてはならないこの木を「伴奏者の木」と名付けたことから課題名が付いている





■「伴奏者」の初登・再登者リスト
そして僕が調べた&頂いた情報を基にして作成した暫定リストです

170213_伴奏者_v03


■補足
まずいくつか聞いただけの内容もあるので、時期等含めて間違っているものがあったら是非教えてください。
それと登っても全く発表していない人もいると思いますので、正確にはカウントできていないと思います。
もし"実は私登っています"、"登った人を知っています"という人がいて、公にしても良いのであれば教えてもらえると嬉しいです。
岩橋さんが登った時期はたぶん表の位置くらいなはず。

興味深いのは、室井さんの初登から徹くんの第2登まで6年もかかっているということ。
そこまで長らく登られていなかったのですね。
初登と第2登が12月9日と全く同じ日付なのも面白い。
そして全体的に12月や1月にもかなり登られていますね。極寒期はスラブに向いているのかもしれない。

あとセッション効果みたいなものももしかしたらありそうですね。
偶然重なっただけかもしれないですが、割と近い時期に完登者が出ていることが多い気がします。

そして、作ってみて気づきましたが、今年のボルダリングジャパンカップのセッター陣がなんと4名もいます!



■終わりに
もし情報あればどしどし待っています。
あと他の課題でも面白そうなら調べてみるかもしれません。
ではでは。

スポンサーリンク


第12回ボルダリング・ジャパンカップ出場選手の戦績

スポンサーリンク

さぁ今週末の1月28,29(土日)は、第12回ボルダリング・ジャパンカップ(以下、BJC)です。
僕も下記のYouTubeチャンネルの中継で予選と準決勝の実況・解説をいつものダッシュさんとのコンビで担当させていただく予定です。

第12回BJC 女子予選 Youtube
第12回BJC 男子予選 Youtube
第12回BJC 準決勝 Youtube

それに伴い出場選手の戦績をまとめてみましたので、観戦に来る方や中継を見る方の参考になれば幸いです。



目次
■記載事項と注
■男子主要選手の戦績
■女子主要選手の戦績
■終わりに



■記載事項と注
対象選手は第12回BJCに出場する選手の中で過去3年間の平均順位上位20人です。
(男子は後から1名追加したため21人となった)
BJCの結果に加えて、去年のボルダリングでの主要国際大会の戦績も載せています。

またBJCの順位は公式に発表されているリザルトに変更を加えています。
具体的には「同着が複数人いた場合は、複数人が占める順位の平均順位を与える」という変更です。
10位が3人いた場合は、10位、11位、12位を3人で占めていると考え、3人ともに平均の11位を与えています。

以前に書いた参考記事
「国内最強ボルダラーは誰か~過去のボルダリングジャパンカップ男子分析~」
「国内最強"女子"ボルダラーは誰か~過去のBJC女子分析~」
「第10回ボルダリング・ジャパンカップ出場選手の戦績」



■男子主要選手の戦績
まずは男子の戦績をまとめたものです。

BJC2017 men v02
注)
赤塗は決勝進出
青塗は準決勝進出


第1位は、日本のボルダリング界の名実共にリーダーと言える杉本怜選手。
準優勝、優勝、準優勝、と群雄割拠の日本男子ボルダリングシーンで凄まじい成績を残しています。
ご存知の通り、2013年のワールドカップミュンヘン大会では優勝も経験するなど世界クラスのクライマー。
シーズン初めに左肩怪我の手術をしたためワールドカップへの参戦は満足なものではないシーズンでしたが、それもこれも全てはこのBJCで再度爆発するため。
しっかりと調子を上げてきているはずなので、大いに期待できるでしょう。

2位は昨年の第11回大会の覇者である藤井快選手。
苦手なタイプも少なく、間違いなく優勝候補の1人です。
昨年のワールドカップで2度の優勝、年間ランキング2位と、楢崎智亜選手と共にボルダリングワールドカップで日本旋風を巻き起こした立役者。
連覇を成し遂げるかに注目。

3位は山内誠選手。
第9回大会での衝撃的な優勝が印象に残っています。
そしてその優勝を皮切りに3大会連続の決勝進出をしているという安定感があります。
リーチの無さを補って余るほどの、ずば抜けたフィジカルと保持力が持ち味です。

4位は渡部桂太選手。
第10回大会で準優勝し、昨年も決勝に進出。
類稀なる柔軟性があり、特に細かいホールドに滅法強いです。
緩傾斜やスラブなども得意とし波乱が起こせる選手であるため、念願の初優勝に期待がかかります。

5位は堀創選手。
第5回大会での優勝、2011年ワールドカップキャンモア大会での優勝と一時代を築いてきた選手。
BJCに2度以上参戦している選手の中では、唯一出場した全ての大会で決勝進出をするという偉業を成し遂げています。

そして6位はおそらく本大会の優勝候補筆頭である楢崎智亜選手。
2016年に世界で最も輝いたクライマーでしょう。
ワールドカップ年間ランキング1位、世界選手権優勝、アディダスロックスターでも優勝と、世界タイトルを総なめにしました。
しかし未だBJCでは優勝経験なし。
勢いのまま初優勝をさらい、BJC男子における「同じ選手が優勝できない」というジンクスがしっかり守られるのでしょうか。

7位以下には緒方選手、亀山選手、石松選手、波田選手など急激に世界でも活躍をし始めている期待の若手や、中野選手、清水選手、茂垣選手、尾崎選手などベテラン勢も顔を揃えております。

ランキング外ですが、近年五段クラスを登りまくるなど岩場を中心に目覚ましい成果を上げている村井隆一選手や、先日のauのイベントで世界選手権の課題を一撃するなど勢いに乗っている楢崎明智選手も要チェックです。



■女子主要選手の戦績
続いて女子です。

BJC2017 women v02

第1位は小田桃花選手。
直近3大会の平均順位を用いているため、第9回の準優勝が効いています。
ここ2,3年は第一線からは退いていましたが、近年コンペシーンにも復帰。
かつてはBJCでは常に野口選手の後に位置付け準優勝複数回、ボルダリングワールドカップでも幾度となく決勝に進みました。
久々のBJCを楽しんでもらいたいですね。

2位は田嶋あいか選手。
第10回大会で優勝し、野口選手の10連覇を阻んだことは記憶に新しいです。
リードのイメージが強いですが、持ち前の指の強さを武器にBJCでも2年連続で決勝に進むなど安定した成績。
第10回大会の波乱を再び起こせるか注目です。

3位はもはや世界のクライミングシーンでのレジェンドとも言える野口啓代選手。
BJCでの通算10回の優勝はおそらく今後も破られることのない不滅の記録でしょう。
ワールドカップ年間ランキングでも通算4度1位を取るなど、世界で最も活躍した女性クライマーの1人。
もちろん優勝候補の最筆頭です。

4位は加島智子選手。
直近3大会全てにおいて決勝に進んでいます。
若者に交ざりながら、未だ衰えるどころか成長を続ける大人クライマー。
男子顔負けのフィジカルで他の女子選手には無い強烈な突破力を持っているため、野口・野中の2人を脅かすことができる選手ではないでしょうか。

5位は尾上彩選手。
国際大会の成績では野口・野中の2トップの次に位置付ける実力派選手。
第10回大会では表彰台にも乗っています。
順当にいけば決勝には駒を間違いなく進めてくると思われます。

6位は2016年大ブレイクした野中生萌選手。
野口選手と並び間違いなく誰もが優勝候補に挙げる選手。
ワールドカップでの2度の優勝、年間ランキング2位、世界選手権でも準優勝。
昨年の実績では野口選手を凌駕しているといって良いでしょう。
BJCでの初優勝を奪えるか!

7位以下にも昨年決勝でハイパフォーマンスを見せた渡辺選手や伊藤選手、他にも決勝経験のある大田選手、小武選手、戸田選手などが並びます。
個人的には2003年世代を象徴する選手である、森秋彩選手がセンセーションを巻き起こすのではないかと注目しています。



■終わりに
まとめている内に、自分が一番楽しみになってきてしまいました。
さぁどうなるでしょうかね。

選手の皆さん、それぞれ実力が出せるように楽しんでください。
ではでは。

スポンサーリンク


ボルダリングコンペのカテゴリー問題の補足

スポンサーリンク

前回の「ボルダリングのカテゴリー問題を考える」はSNS上で多くの方から色々な反響をもらえて有意義なものとなりました。
で、そこで出ていたいくつかの意見に対して簡単に僕の考えを補足しておこうと思います。



1つ目のテーマは
■最近のコンペでカテゴリー分けが上手くできているのは、船橋ロッキーのBeast Bouldering Series(以下Beast)である
という意見。

このBeastは毎月船橋ロッキーで開催されているベルトコンベア式のコンペです。
僕も何度も参加させていただいておりますが、確かに適正グレードを大幅に逸脱しているという問題は多くは生じていないように見えます。(もちろんたまにはあるようですが)
これが何故なのか考えてみると、以下の3つの理由が挙げれれます

・カテゴリーの数が多い
・カテゴリーごとに出される課題のグレードが明示されている
・コンペが頻繁に開催されているため、選手がそれぞれの適正カテゴリーに収斂されていく

まず、Beastは全部で6カテゴリーで開催されていますが、これを超えるカテゴリー数は他では見たことがないです。
ベルコンでかつ参加人数をある程度絞っているからこそできることですが、当然カテゴリー数が増えれば各選手は適正カテゴリーで参加しやすくなります

また、2つ目の理由であげたことですが、カテゴリーそれぞれに対して「ロッキーのこれくらいのグレードの課題が出ますよ」ということが明示されています。
するとロッキーに遊びに行ったことがある人は、
「4分間でこれくらいのグレードなら何とか頑張れそうだ」とか
「これは流石に自分には簡単すぎるカテゴリーだから、上で出てみよう」とかなるわけです。
もちろんこれも草コンペだからこそ成せる業なのですが、ロッキーグレードを体感している人にとっては非常にわかりやすいわけです。

そして、何より大切なのがほぼ毎月のようにコンペが開催されているということです。
参加選手は何度か出場することで自分の適正カテゴリーが肌感覚として掴めてくるので、徐々に自分に最もあったカテゴリーに参加するようになります。
もちろん、初めての参加の人などが事故ることはあるのですが、何度か参加している人が適正カテゴリーに出ていれば「誰々さんがこのカテゴリーだから自分はここくらいかな」とある程度正確な判断基準になります。
僕が常々思うのは、選手も別に賞品や名声目当てだけで実力より下のクラスに出ているわけでなく、本当にどのクラスが適正なのか困惑しているのではないか、ということです。
コンペに出るような選手はそこまで悪ではないはずなのです。

(まぁ4つ目の理由として「ロッキークライマーは意識が高い人が多い。そしてずるがしこい奴やロッキー精神がわかっていない奴がカテゴリーをごまかそうとすると意識の高いロッキークライマーから注意される。そうすることでずるがしこい奴も意識が高くなっていく、という素晴らしい自浄作用が働いているから」というのがあり、これが本質な気もしますが一旦置いておきましょう。笑)



2つ目のテーマは
■グレード毎にポイントの違う課題が用意されているなどして、参加者全員がどの課題でもトライできるようにすれば問題は解決されるのではないか
という意見。

たしかに、このやり方は公平かもしれません。
クエールのコンペや、プロジェクトのコンペなど、多くの草コンペでも採用されている方式です。
しかし公式コンペやそれに準ずる格調のある(?)草コンペではこの方式はほとんど採用されることはありませんし、僕個人としてもあまり適切なやり方ではないと感じています。

その理由的なものが知る人ぞ知る正統派ブログ、バトルロッククライミングで触れられていてものすごい同意してしまいました。
簡単にまとめる&僕の意見も付けたすと

・ポイント制のコンペは往々にしてポイントの適切な傾斜配分が困難
・故に、困難なグレードの課題にチャレンジするより簡単なグレードで荒稼ぎした方が順位が上がることがよくある
・結果として簡単な課題をたくさん登った人が決勝に行き、困難な少ない本数の課題を登った人が予選に落ちるなどの事態が発生し、どちらの参加者も微妙な気持ちになることがある

という感じでしょうかね。

(話はそれますが、ここの部分にもめちゃくそ同意してしまった)

「俺は順位とかどうでもいいし、コンペ中ずっと難しいの打ち込もう」って人がたまにいますけど、困難なものに挑戦する姿勢は素晴らしいと思うんですけど、むしろそれがクライミングの本質な気もしますが、コンペとしては勝負を放棄してるみたいであまり好きではないです。



ようは選手が登ること以外の戦略的な面にまで配慮しないといけないことが、クライミングの本質から逸れているのが気持ち良くないんですね。
もちろん
・適切な配点
・上位○本の課題だけ得点換算
とかすれば、そのあたりは解決されるのかもしれませんが、現状としてこのやり方のコンペではツワモノクライマーが下に沈んでいる風景をよく目の当たりにします。
あとは、この方式は平等にするには全員で同じ時間帯にセッションしないといけないというデメリットもありますね。



3つ目は
■海外の草コンペではカテゴリーなどはどうなっているの?
という意見。

まじで15分くらいでネットサーフィンしてざっと調べただけなので見逃し大いにあるとは思いますが、海外でも草コンペのカテゴリー分けは厳密ではないものが多そうです。

参考
Tristate Bouldering Series
GoPro Mountain Games
Vulcan Cup Bouldering Competition
Dynomite Bouldering Competition
Rock-It Power Bouldering Competition

どこのコンペを見ても、カテゴリーは
・Novice:V0-2
・Intermediate:V3-5
・Advanced:V6-8
・Masters:40+
のように(おそらく)出される課題のグレードで3クラスくらいに分けて、で40歳以上の人とかユースは別枠、みたいな形式が多いように思われます。
結局のところ、「どこの何のグレードなのか」は詳細に書いてはいないので、日本と同じく厳密には書かれていないですね。
ランキングもTNFCやBLoCのように順位でポイント与える程度の簡易的なものしかなく、レーティングと呼べるものまでは発見できませんでした。
これによってカテゴリー問題が日本と同じように叫ばれているかどうかまではちょっと調べ切れなかったっすね。



てな感じで補足を終わります。
簡単に補足するつもりがまたくっそ長くなってしまった、、、。

スポンサーリンク


ボルダリングコンペのカテゴリー問題を考える

スポンサーリンク

SNS上でよく話題に上がっているボルダリングコンペのカテゴリー問題。
もう少し具体的に言うと

同一カテゴリー内で参加者の実力差があり過ぎるために生じている以下の諸問題
 ・上位に食い込める可能性がほとんどない参加者が多く発生
 ・全完登(更には全1撃)者続出
 ・セッターにとって課題作成が困難
 ・観客にとっても見ていて面白くない

について考えてみようと思います。

個人的には、SNSで時折騒がれてはいるものの、これまでそれほど大きな問題だとは感じていませんでした。
しかし先日のThe North Face Cup 2017(以下TNFC)のFish戦を運営側として客観的に見てみた時に、想像以上に根深い問題だと感じたため、自身の思考の整理も含めて記事を書くことにしました。
この問題はもはや「グレードごまかしてんじゃねぇ!適正カテゴリーに出ろ!」みたいな、精神論的な啓発だけでは解決できない領域まできていると感じます。



目次
■前提
■現状認識
■問題の根源
■具体的対策
■終わりに



■前提
まずこの話題を論じる上で前提として断っておきたいことがあります。
それは、

現状のほぼ全てのコンペにおいて適正カテゴリーの基準が曖昧過ぎる。
その状況下で、不適正なカテゴリーに参加している選手がいたとしても選手を責めるべきではない

と僕は考えているということです。

例えばTNFCのDivision 3の参加基準は「1~2級以上の男性」、
BLoCのミドル男子の参加基準は「レッドポイントが概ね2級までの男性」です。
しかしこれだけでは、
最高レッドポイントグレードの話なのか、
1日で登ることができるレッドポイントグレードの話なのか、
どこのジムでの話なのか、
そもそもインドアと外どちらの話なのか、
全てがあまりに曖昧で共通認識を持つことは難しいです。

僕も5,6年前に、Edge and Sofaのコンペで「ラブリー」という3級までのカテゴリーに出て、予選をあまりに余裕過ぎる成績で通過してしまうという恥ずかしい体験をしたことがあります(決勝ではコケてそれも恥ずかしかったですが)。
しかし、当時の僕のホームジムであったTwallや品川ロッキーで2級を登れることはほとんどなかったと思いますし、外でも「忍者返し」を完登できるかどうかギリギリの時期だったので、外でもよく触る課題という意味では3級程度だったと思います。

このようにカテゴリーやグレード自体が曖昧で明文化されておらず、共通認識もされていない状況下では、選手も適正カテゴリーを見極めて出場することは難しいです。
なので、問題の原因はあくまで運営側にあり選手を責めるべき意図でこの記事を書いているわけではないということは大前提として話を進めます。
僕も運営としてBLoC等のコンペに関わっているのでこれは他人ごとでは全くない話ですね。



■現状認識
まず現状の草コンペがどういう状況になっているかを、TNFCの男子カテゴリーを例にとって見てみます。
カテゴリーは以下の5つ(DivisionをDと表記)

D1:三段以上
D2:初~二段
D3:1~2級
D4:3~4級
DFun:大会初めてかつ4級以下

以下、このグレードが「ジムでの最高レッドポイントグレード」だと解釈して話を進めると、D1とD2はカテゴリーの基準グレードと参加者のグレードがおおよそ合っているように思います。
まぁ二段や三段ってそもそもどのくらい難しいんだという共通認識ができているかどうかはわかりませんが。

一方でこれは完全に僕の主観ですが、D2の選手はコンスタントに初段を登ることができるのに対して、D3やD4で決勝に進むような選手も課題を選んだりより多くの日数をかければ、初段を登った経験またはその実力はあると感じています。
BaseCamp、Rockyなどの比較的グレードが甘いジムか、グレードがもう少し辛いPump、更に辛いライノ・フィッシュ、アングラなど、ジムによってグレード感はもちろん大幅に変わるので一概に論じられませんが。

つまり最高レッドポイントグレードという括りで見てしまうと、おそらくですがD2~D4の上位選手はほぼ全員が1級~二段程度のレンジに収まってしまうのです。
しかしD2では到底勝てないと判断した選手はレッドポイントが初段であるけれど、D3やD4にカテゴリーを下げざるを得ない。
するともう少し実力が低い参加者は上から降りてきたより強い選手を見てD4でも勝つことができないと判断してしまい、例えば最高レッドポイントが大幅に4級を超えていたり、コンペ参加が初めてでなかったりしても、規定を破ってでもDFunに参加するしかない。
と、このように上位カテゴリーからどんどん選手が押し出される構造になっているのです。
これが積み重なって
・コンペの基準となるグレードと参加者のグレードが全く対応していない
・正直なグレードで参加した人との実力差の乖離が生じる
という現象になっているのです。

そして、カテゴリーの基準グレードを参加者のグレードが大幅に上回っていた場合、コンペを成立させるためにセッターも課題を難しく設定せざるを得ないです。
そうしなければ上位陣が全完登となり勝負が着かなくなってしまうので。
すると、正直なグレードで出場した参加者は全く課題が登れない状況になり、下のカテゴリーに参加する傾向が生まれてしまいます。
こうやって更にカテゴリーの基準はあってないようなものになり有名無実化していくのです。
つまり、下の図のようなスパイラルが生じてしまっているというのが現在の状況ではないでしょうか。

170116_カテゴリー問題



■問題の根源
ではこの問題の根源はどこにあるかというと、やはり「グレードやカテゴリーの明確な基準がない」という点だと思います。
上に書いたように、基準グレードとは
・1日で登ることができるレッドポイントグレードの話なのか
・どこのジムでの話なのか
・そもそもインドアと外どちらの話なのか
などがあまりに曖昧で、ここを明確化しないと参加者を困惑させます。

更に、現行のグレード体系でコンペティターの実力を分けること自体がそもそも難しいとも最近感じています。
年々コンペティターの裾野が広がっており、多くの人が男性であれば2級程度の課題のレッドポイントは当たり前にする時代になっています。
また一番下のクラスの出場者であっても、撃ち込めばホームジムの1級や初段を落とした経験を持つ方もいるかもしれません。
しかし、「初段を撃ち込んで1本登ったことがある人」と「初段をコンスタントに登ることができる人」ではその実力は天と地ほどの差があります。
つまり最高レッドポイントでカテゴリーを分けようとするならばもっと細かくクラスを分ける必要がありますし、そもそも現行のグレード体系それ自体がコンペティターの実力を測ることに不適合なものになってきているのかもしれません。



■具体的対策
では具体的にはどのように変えていけばこの問題を解決することができるのでしょうか


<カテゴリーの基準を明確にする>
再三書いているように、カテゴリーの基準を明確にすることが求められます。
まずはどこのジムでのグレードを基準にするのかを明示するべきです。
現状都内のジムだけで考えても少なくともジム間で2グレード程度はずれが生じているというのが僕の体感です。

また最高レッドポイントグレードで語るのにも無理があります。
かといってオンサイトグレードや3便以内に登れるグレードのようなものを採用しても、個々人の実力差を上手く反映できる気があまりしません。
何となくしっくりくるのは
「2時間、○○ジムで自分が登れる付近のグレードの全ての課題を撃ち込んだ場合、初段×本、1級△本、2級□本程度登れる」
のような基準でしょうかね。
ものすごく複雑な基準になってしまいますが、参加者の実力がある程度反映される気がします。


<基準を明確にした結果より細かくカテゴリーを分ける>
仮に上記のような基準を設けたとしても、かなり細かくカテゴリーを分けないと参加者の実力に乖離が出てしまうと思います。
例えばあるジムで2時間登って、10本の初段の内
・8本登れる人
・4本登れる人
・1本しか登れない人
は同じ「初段を登れた」という結果ですが、それぞれ1カテゴリー分くらいの実力差が離れていると個人的には感じます。
ですので、本当に実力が拮抗したグループ分けをしたいのであれば、例えば以下の様にかなり細かくわける必要があります。

2時間○○ジムにいた場合、
1. 二段が半分程度登れる
2. 二段が1,2本、初段が9割方登れる
3. 初段が半分程度登れる
4. 初段が1,2本、1級が8割方登れる
5. 1級が半分程度登れる




これをしっかりわけようとすると10カテゴリーとかになってしいますね。
しかし現行のグレードというものはそれくらい1つのグレードが幅広いものとなってしまっていて、競技者の増加に対応し切れていないものだと感じています。


<適正カテゴリーに分けるレーティング制度的なものを導入する>
しかしどれだけ基準を明確にしたところで、本来よりも下のカテゴリーで出場する選手は発生するでしょう。
それに対してTNFCは昇格降格という仕組みを導入しています。
これはクライミング業界では画期的な試みですが、コンペが基本的に年1,2回程度なので昇格降格のタイミング以上に選手の成長スピードなどが早く実質的にうまく機能していないと言わざるを得ません。

これを打破するには以下が考えられます
・コンペの回数を上げる。もしくは他での開催コンペを基準に昇格降格を機能させる
・課題ごとに登れた登れていないを評価して各選手にポイントを振り分ける、レーティング制度を導入する


レーティングというのは各選手が自分の実力を表すレートというものを持っていて、コンペの結果でそのポイントが上下する仕組みです。
例えば
「No.5の課題を登れているのはこの大会で○%の選手だけである。この選手のレートから考えると実力以上の結果を出しているのでxxポイントを与える。
逆にNo.10の課題は○○%もの選手が登っているのに、この選手は登っていない。この選手のレートから考えると登らないといけない課題なのでxxポイントをマイナスする」
のようなことを数学的に処理するのです。

他のスポーツでの例などは今度別記事で詳しく書くかもしれないです。
もちろん課題の取捨選択などに影響してしまったり、出場選手でレーティングの上下が多少なりとも影響してしまうなど、運用しようとすると問題は大きいのですがもしある程度正確なレーティングが導入されれば出場クラスで迷うことなどはなくなります。
レート1000~1200の選手はこのカテゴリーに出場すること、などと機械的に決めることができるので。



■終わりに
想定以上に長くなってしまいましたがこんな感じです。
こんなことブログで書いているくらいならまずBLoCとかでやれよって話なのですが。
でも実はカテゴリーの基準を明確にしないでも「BLoCミドル決勝程度のレベル」みたいなこれまで皆で積み上げてきた暗黙での共通認識も好きだったりするんですよね。
と、ここにきてちゃぶ台を返してみたり。笑

ともあれ、これから競技人口がますます増えていくとこの問題は避けられないですね。
今後も考え続けていきます。
ではでは。

スポンサーリンク


<<PrevPageTopNext>>

スポンサーリンク
全ての記事一覧

全ての記事が一覧で見やすく見ることが出来ます!

全ての記事を表示する

プロフィール

mic

Author:mic
植田幹也
はい、ミキペディアです
ボルダリング中心ですが、クライミング全般の記事が多いです
mikipediaではないです

メールアドレス
pinedooruedaあっとyahoo.co.jp

リンクフリーです

最新記事
最新コメント
月別アーカイブ
カテゴリ
FC2カウンター

検索フォーム

FC2カウンター

現在の閲覧者数: